2024/01/01

新年のご挨拶

明けましておめでとうございます。令和6年の年頭にあたり謹んで御祝詞を申し上げます。
皆様方におかれましては、年末年始をどのようにお過ごしになられましたでしょうか?
ご存知の方も多いでしょうが、昨年の5月からコロナウィルスの位置づけが「5類感染症」となりました。
そのため世の中が少しずつコロナ前の様相を呈してきました。
久しぶりの帰省で大切な方々と再開を果たした方、旅行に行かれた方も多いのではないでしょうか?
数年ぶりのお祭りや催事が開催されるという明るいニュースが多くなり、人々の笑顔が戻ってきたのは嬉しい限りです。関内陵苑では合同法要を久しぶりに参列出来るように致しました。
普段の回忌法要の参列者も多くなり、やっと自由にお墓参りして頂ける世の中に戻りました。
どうぞコロナ禍で出来なかったご供養、お墓参りを関内陵苑で行って頂ければ幸いです。 

さて昨年は自動車販売会社の不正が大きなニュースとなりました。

自社の利益を優先するために、お客の車を故意に傷つけたり、保険請求のチェックをいいかげんに行ったり、店舗前の樹木に除草剤を撒いてわざと枯らしたり、従業員へのパワーハラスメントなど日々世の中を騒がせました。これらのニュースを聞いていて私はある言葉を改めて学びました。
それは老子の言葉で「天網恢恢てんもうかいかいにしてらさず」というものです。
これは「天の神が地に張り巡らした網は、ゆったりして粗いようであるが、決して漏らすことはなく、それに搦め捕られる。すなわち、悪事を行えば、一時的には逃げおおせるなどうまくいったように見えるが、結局は、捕らえられる乃至ないしその報いを受ける」ということです。

このニュースは社会に大きな衝撃と不安を与えました。TVでよくコマーシャルをやっていた大会社の不正が明るみとなり、会社の存続が危ぶまれる結果となりました。

煩悩の一つに「貪欲(とんよく)」があります。これは「貪り」のことで必要以上を求める執着を意味します。
起業時はこの自動車販売会社も崇高な企業理念を持っていた事でしょう。
しかし大きくなるにつれ、この「貪欲」が増していき今般の不祥事に繋がったと思います。
不妄語ふもうごかい(いつわりの言葉をくちにする)不偸盗ふちゅうとうかい(他人のものを奪う)不殺生ふせっしょうかい(生命あるものをむやみに
殺す)。これらは仏教における五戒(守らなければいけない戒)の内の三つです。
これらを犯したこの会社はまさに報いを受けたわけです。
私はこのニュースを他人事ではなく、自分を律するための学びとして捉えたいと思います。
「天網恢恢疎にして漏らさず」心に刻んで参ります。 

最後に、今年の干支は甲辰(きのえ・たつ)です。
甲は木の陽を表し、大地にしっかりと根を張り、天に向かってまっすぐに成長してゆく樹木を意味します。
辰は十二支の中では唯一の架空の生き物、龍を意味します。水や海の神として祀られてきた龍は、竜巻や雷などの自然現象を起こす大自然の躍動を象徴するものであり、十二支の中で最も縁起の良い干支と言われております。すなわち成功という芽が成長していき、姿を整えていくといった縁起のよさを表しているといえそうです。皆様にとってコロナ禍で耐えてきた日々が報われる年であることを願っております。

合掌九拝

令和6年 元旦

大弘山光明院法國寺 法務部主任 大久保卓倖

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