迎え火や送り火のやり方!いつやるかや必要な材料、代用品、セット品の活用も解説

お盆の迎え火・送り火は、日本の伝統的な風習の一つです。
現代の住環境に合わせた実践方法を知れば、誰でも心を込めて供養できます。
本記事では、基本的な意味から具体的なやり方、住宅事情に応じた代替方法まで解説します。
迎え火や送り火のやり方を確認したい際は、ぜひ参考にしてください。
お盆の迎え火・送り火とは?
迎え火・送り火は、お盆期間中にご先祖様の魂を家族の元へお迎えし、再びあの世へお送りする重要な儀式です。
まずは、迎え火や送り火の基本的な内容を解説します。
迎え火・送り火の意味と起源
迎え火は、お盆の初日にご先祖様の魂が迷わずに自宅へ帰ってくるための目印として焚く火です。
送り火は、お盆期間を家族と過ごしたご先祖様の魂があの世へ無事に戻れるよう、お見送りのために焚きます。
この風習の起源は仏教の「盂蘭盆経(うらぼんきょう)」に由来し、お釈迦様の弟子である目連が母親を救った説話に基づいています。
迎え火・送り火で燃やすおがら(麻の茎)は、古くから穢れを祓い清める清浄な植物とされ、清く穢れのない空間を作り出す意味も込められています。
ここに中国の儒教・道教の先祖供養の要素が加わったのが日本のお盆の風習です。
お盆の期間と迎え火・送り火の役割
お盆は年に一度、ご先祖様の魂がこの世に帰ってくる期間とされています。
迎え火はお盆の始まりを告げる役割を果たし、送り火はお盆の終わりを示す区切りとなります。
迎え火の煙に乗ってご先祖様が帰ってくるともいわれており、送り火の煙はあの世へ届くとされ、お供え物を一緒に焚いて「この世の手土産」として届ける役割もあります。
迎え火・送り火をいつやるのか
迎え火は8月13日(7月盆は7月13日)の夕方17時頃から行うのが一般的です。
送り火は8月16日(7月盆は7月16日)の夕方17時頃から焚き始めます。
時間に厳密な決まりはなく、家族の仕事が終わる時間や親戚の集まる時間に合わせて行っても問題ありません。
送り火は17時頃から19時頃まで2時間ほど焚くことが多いです。
地域による違い
お盆の時期は地域によって3つに分かれています。
東京・横浜など都市部では7月13日〜16日の「新暦盆(7月盆)」、全国の多くの地域では8月13日〜16日の「月遅れ盆(8月盆)」、沖縄・南西諸島では旧暦7月15日頃の「旧暦盆」が行われます。
7月中旬は農作業の繁忙期にあたるため、農村部では農作業が落ち着く8月中旬にお盆を行うようになったのが8月盆の由来です。
一方、都市部では明治政府の新暦導入の影響を強く受けて7月盆が定着しました。
新盆(初盆)の迎え方
新盆は故人が亡くなって四十九日が過ぎてから初めて迎えるお盆で、通常のお盆より手厚く供養します。
新盆では故人が初めて帰ってくるため、迷わないよう他の家とは違う白提灯(白紋天)を用意します。
新盆の迎え火は通常と同じ方法で行いますが、より丁重にお供え物やお花を用意してお迎えします。
迎え火・送り火の材料や必要な道具
ここからは、迎え火や送り火に必要な道具を紹介します。
現代の住環境では、安全性を考慮した代用品の活用も注目されています。
基本の材料
迎え火・送り火の基本材料は、おがら(麻の茎を乾燥させたもの)、焙烙(ほうろく・素焼きの小皿)、盆提灯です。
おがらは麻の皮をむいて乾燥させたもので、古くから清浄な植物として穢(けが)れを祓(はら)う意味があります。
焙烙は耐熱性の素焼きの皿で、おがらを安全に燃やすために使用します。
盆提灯は迎え火の炎で灯し、ご先祖様の目印として玄関や仏壇の前に飾ります。
代用できるもの
火を使えない環境では、割り箸を細かく割いたものでおがらの代用が可能です。
焙烙の代わりには金属製の灰皿や耐熱皿を使用できます。
盆提灯の代わりに電池式やLED式の提灯を活用すれば、火を使わずに安全に迎え火・送り火の雰囲気を演出できるでしょう。
マンションのベランダでは、卓上コンロ用の小さな耐熱皿を使用し、少量のおがらや割り箸で小さな火を焚く方法もあります。
ただし、必ず管理規約を確認し、近隣への配慮を忘れないようにしましょう。
迎え火送り火セットの活用も可能
最近では、迎え火・送り火に必要な材料がセットになった商品も販売されています。
これらのセットには、おがら、焙烙、簡単な説明書が含まれており、初めて迎え火・送り火を行う方にも便利です。
セット商品を選ぶ際は、住環境に適したサイズかどうかを確認し、安全性を重視した商品を選択しましょう。
インターネット通販や仏具店で購入できるため、お盆前に早めに準備しておきましょう。
戸建てや野外での迎え火・送り火のやり方

戸建て住宅や野外での迎え火・送り火は、伝統的な方法で行えるため、より本格的な供養が可能です。
ただし、安全性の確保と近隣への配慮が重要です。
迎え火の準備と手順
迎え火の準備では、まず必要な材料を揃え、安全な場所を選定します。
当日は家族が揃う夕方の時間帯に、心を込めて丁寧に行いましょう。
安全確認・場所の選び方
迎え火を行う場所は、玄関先や門の前、庭などの安全な場所を選びましょう。
風の強い日は避け、周囲に燃えやすいものがないか確認することも大切です。
消火用の水を必ず準備し、火災報知器の位置も把握しておきます。
近隣住宅との距離を考慮し、煙が迷惑にならない場所を選択します。
マンションが隣接している場合は、洗濯物への影響も考慮して時間帯を調整しましょう。
おがらの積み方・火のつけ方
焙烙におがらを井桁状(「井」の字)に積み上げ、中央に着火しやすい細いおがらを置きます。
マッチやライターで中央から火をつけ、徐々に全体に火が回るようにします。
火が安定したら、その炎で盆提灯に灯りを移します。
昔ながらの方法では、お墓参りの際にろうそくから盆提灯へ火を灯し、帰宅後にその火で迎え火を行います。
合掌・黙祷のタイミング
火が安定して燃え始めたら、家族全員で合掌し、ご先祖様を迎える気持ちを込めて黙祷します。
「お帰りなさい」「無事に帰ってきてください」という気持ちを込めて、静かに祈りを捧げましょう。
送り火の手順と注意点
送り火は迎え火と逆の手順で行います。
盆提灯の火を使って焙烙のおがらに点火し、ご先祖様をお見送りします。
お供え物を一緒に焚いて、煙として「この世の手土産」をお送りする場合もあります。
送り火では「ありがとうございました」「気をつけてお帰りください」という感謝の気持ちを込めて合掌します。
火が燃え尽きるまで見守り、最後まで丁寧にお見送りしましょう。
終了後の片付け・消火方法
火が完全に燃え尽きたら、水をかけて確実に消火します。
焙烙が冷めるまで待ち、灰は庭に撒くか、自治体の指示に従って処分します。
使用した道具は清潔に洗い、来年まで大切に保管しましょう。
近隣への配慮として、煙や臭いが完全に収まったことを確認してから片付けを終了します。
翌日も周囲に迷惑をかけていないか気を配る心遣いが大切です。
マンション・集合住宅での迎え火・送り火のやり方

マンションや集合住宅では火災の危険性や近隣への配慮から、従来の方法での迎え火・送り火が困難な場合があります。
しかし、工夫次第で安全に供養の気持ちを表現できます。
火を使えない場合の代用方法
火を使えない環境では、盆提灯やLEDライトを活用した代用方法が効果的です。
玄関先に電池式の盆提灯を設置し、迎え火の時間帯に点灯させてご先祖様をお迎えしましょう。
ベランダでの実施では、小さなLEDキャンドルを焙烙に置き、雰囲気を演出する方法があります。
室内では仏壇の前に電気式の盆提灯を飾り、迎え火・送り火の時間に合わせて点灯・消灯を行います。
玄関のドアに小さな提灯を吊るしたり、玄関マットの横にLEDライトを置いたりして、ご先祖様の目印とする工夫も可能です。
マンションでの注意点とマナー
マンションでは管理規約を必ず確認し、火気使用の可否を事前に把握しましょう。
ベランダでの火気使用が禁止されている場合は、代用方法を選択してみてください。
近隣住民への配慮として、煙や臭いが発生する方法は避け、夜遅い時間帯の実施は控えましょう。
共用部分での実施は管理組合の許可が必要な場合があるため、事前に相談しましょう。
トラブル防止のため、事前に両隣の住民に一声かけておくことも必要です。
精霊棚やお供えの工夫
マンションでは精霊棚を仏壇の前や玄関近くに設置し、ご先祖様をお迎えする準備を整えます。
お供え物は日持ちするものを選び、生花は水替えを頻繁に行って清潔を保ちます。
精霊馬(きゅうりの馬)と精霊牛(なすの牛)を作り、ご先祖様の乗り物として精霊棚に飾ります。
これらは迎え火・送り火の代わりに、ご先祖様の移動手段を表現する意味があります。
お供え物は毎日新しいものに交換し、お盆期間中は丁寧に供養の気持ちを表現しましょう。
最終日には感謝の気持ちを込めて片付けを行います。
迎え火・送り火をやらない場合・できない場合の供養方法

住環境や体調、宗派の違いなどで迎え火・送り火ができない場合でも、ご先祖様への供養の気持ちを表現する方法があります。
お墓参りを丁寧に行い、仏壇での供養を充実させることで、十分に供養の心を伝えられます。
盆提灯を室内に飾り、お盆期間中は毎日灯りを点けてご先祖様をお迎えする方法も効果的です。
精霊棚を設置してお供え物を充実させ、家族でご先祖様を偲ぶ時間を大切にしましょう。
まとめ
迎え火・送り火は、ご先祖様への感謝と供養の気持ちを表現する大切な風習です。
住環境に応じて柔軟に対応しながら、伝統の心を大切に受け継いでいきましょう。
関内陵宛は、宗教法人法國寺が運営する機械式納骨堂です。
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