生前墓とは?縁起が悪いって本当?赤文字の意味や購入の流れを解説
将来への備えとして、元気なうちに自分のお墓を用意する「生前墓(せいぜんぼ)」が注目を集めています。
自らお墓を用意することで、心配事を残さず最期を迎えることができます。
しかし生前墓に馴染みがない方は、「実際にどのようにして購入するのか」「メリット・デメリットはあるのか」などの疑問を持ってしまうのではないでしょうか。
本記事では生前墓とはどういったお墓を指すのか、また購入する流れやメリット・デメリットについて解説します。
生前墓とは
生前墓とは、生きている間に自分自身のお墓を選び、建てることを指しています。
近年、生前墓が注目を集めている理由は、終活を行うことが一般的になっているためです。
生きている間に自分の資金で遺骨の供養方法を決めることで、残された家族の負担軽減につながっています。
さらに生前墓にはどういう意味があるのか、3つの観点に沿って解説します。
生前墓への理解を深めていきましょう。
縁起が悪いという噂について
生前墓を建てると「縁起が悪い」「早死にするのではないか」というネガティブな声を耳にすることがあります。
実は仏教では、生前にあらかじめ自らの死後の冥福を祈って準備をすることを「逆修」と言い、良い行いとされてきました。
生前墓は逆修のひとつとして、ポジティブに捉えられています。
またさかのぼると、日本では聖徳太子が生前にお墓を建てていて、生前墓は歴史に沿った遺骨の供養方法といえるでしょう。
お墓の赤色文字の意味とは
お墓に刻まれる文字の色が、赤色になっていることがあります。
赤色文字の意味は、生前契約による「生前戒名」または建立者の名前であることが多いです。
赤色文字は生存している方に限定していることが特徴です。
そもそも生前戒名は、一般的には亡くなった後に僧侶から授かる「戒名」を、生前に授かることを指しています。
生前墓に名前を彫っておきたい、納得のいく戒名を授かりたいなどの理由で、生前に戒名を授かる方が一定数います。
赤色文字は生存者であり、死没後には黒色に彫る流れです。
ただし生存者は必ず赤色文字にするルールはなく、敢えて最初から黒色にするケースもあります。
赤色文字を不気味だと捉えたり、経年劣化を考慮したりするためです。
生前墓の建立が増えた背景
生前墓の建立が増えた背景には、世間的に終活を行うことが一般的になり、元気なうちに身の回りを整える方が増加していることがあります。
日本の長寿化によって老後の時間が長くなり、生前墓への意識が高まっているのです。
お墓を早めに用意することで、心にゆとりを持って日々を過ごせます。
また近年、お墓のデザインが広がっていることも、生前墓が増えるきっかけになっています。
自分らしく最期を迎えることにこだわる方が増加しているためです。
従来のお墓のイメージとされる和型墓地だけでなく、洋型墓地やデザイン墓石なども選択肢にあげられます。
それに合わせて、墓石に好きな文字やイラストを彫刻することも可能です。
生前にお墓を購入する流れ
生前墓購入の過程は、単純にお墓を選んで契約すれば完了する訳ではありません。
霊園・墓地への相談や費用の確認、工事を行った後の手続きなどさまざまな工程を踏む必要があります。
ここからは、生前にお墓を購入する基本の流れを5ステップで紹介します。
ステップ1.どのようなお墓を建てるのか決める
まずは生前墓を建てることを家族へ相談して、理解を得る必要があります。
家族は供養を続ける立場になる上に、将来そのお墓に入る可能性があるためです。
お墓の場所や維持費などによっては、家族に負担がかかるケースがあります。
そして生前墓を購入する前に、まずはどのようなお墓を建てるのかを考えます。
霊園や墓地、石材店から資料を請求してみましょう。
ステップ2.霊園・墓地の申し込みを行う
希望するお墓が決まってきたら、霊園・墓地の申し込みを行います。
候補の霊園や寺院を見学して、立地・管理体制・費用などを比較しましょう。
実際に現地を訪れることで、資料だけでは分からない雰囲気や他のお墓の様子なども見えてきます。
気に入った区画が見つかったら申込書を提出し、永代使用料を納めて墓地の契約を結びます。
霊園によっては指定の石材店が決まっているため、申し込み前に確認しておくことが大切です。
ステップ3.お墓のデザインを決める
霊園や墓地が決定したら、その場所に建てるお墓のデザインを具体的に決めていきます。
石材店と打ち合わせをしながら、墓石の種類や色、産地などや、彫刻する文字やデザインを選びます。
墓石の形には和型墓石や洋型墓石、デザイン墓があります。
また宗派によってもお墓のデザインや彫刻文字のルールがあるため、事前に確認する必要があります。
ステップ4.墓石の工事を行う
お墓のデザインが決定し契約が完了すると、墓石の工事が始まります。
墓石の工事は、基礎をコンクリートで固めることからスタートします。
その後は納骨室を設置したり、補強用の鉄筋を組んだりします。
そして外枠の設置工事を行い、最後に墓石と土台を設置します。
お墓の契約を済ませた後、完成するまでは2〜3ヵ月の時間を要することが多いです。
繁忙期はさらに時間がかかる可能性が高く、希望の日程がある方は早めの相談をおすすめします。
ステップ5.開眼供養を行う
お墓が建った後は、魂を入れる法要「開眼供養」を行います。
開眼供養とは、墓石に仏様の魂を入れる大切な供養です。
一般的に、開眼供養は僧侶を招いて読経をお願いし、焼香を行いお清めします。
菩提寺がある場合は菩提寺へ連絡を取り、ない場合は石材店へ相談しましょう。
生前にお墓を購入するメリット
生前墓は、亡くなった後に購入するお墓と比較した時のメリット・デメリットを把握しておきたいものです。
まずは生前にお墓を購入するメリットを紹介します。
相続税対策になる
生前に墓地を購入すると、相続税対策になるメリットがあります。
お墓や仏壇などを指す「祭祀財産」には相続税がかからないためです。
節税対策になった結果、残された家族への負担を軽減することができます。
逆に言うと、もし亡くなった後に故人の資産でお墓を購入する場合、余計な相続税の負担が発生します。
生前墓を購入していないと故人の口座残高が増え、相続税の支払い額も増えてしまいます。
ただし相続税の有無は細かい条件によって異なるため、最終的には専門家に相談する方が安心です。
本人と家族が納得するまで選べる
生前墓を購入することで、本人と家族が納得するまでお墓を選ぶことができます。
本人も家族も心配事を解消した上で、残りの時間を共に過ごすことができます。
亡くなった後にお墓を建てる場合、もし事前に希望の墓地やお墓を伝えていたとしても、本人の意図する形になるとは限りません。
資金の都合で場所を変えられたり、細かい希望が伝わらなかったりする可能性があるためです。
本人と家族でしっかりと相談する場を設けることで、本人の意志を尊重することと合わせて、家族間で揉めるリスクを軽減することもできます。
残された家族の負担が減る
生前墓の購入は、残された家族の負担が減るメリットがあります。
家族は、本人が希望するお墓に納骨したい気持ちが強いでしょう。
しかしお墓は家族が管理する負担もあるため、生前墓であれば両者が納得の行く形に収めることが可能です。
家族が心残りなく故人を送り出せる環境が整います。
また生前墓の購入は、費用面の負担軽減にもつながります。
墓地・墓石は条件によっては100万円を超えることもあります。
費用の話し合いで揉めたり、急な出費に困ったりすることを防げます。
生前にお墓を購入するデメリット・注意点
続いて生前墓を購入するデメリットや注意点を解説します。
メリットと合わせて確認し、実際に購入を検討してみてください。
購入制限がかけられていることがある
生前墓の購入には、制限がかけられていることがあります。
霊園や墓地は緊急性の高い方を優先するため、遺骨が手元にないとお墓を購入できないことがあるためです。
また宗教上の理由で、生前墓の購入を断られることもあります。
申込資格が厳格な霊園・墓地があるため、購入を検討する段階で確認することが大切です。
生前から管理費が発生する
生前墓を購入すると、遺骨を納めていなくても管理費が発生することが多いです。
管理費とは霊園や寺院に支払う手数料のことで、具体的には墓地の水道代・維持管理費などにかかる費用を指しています。
毎年または数年に1度支払うことが一般的で、数千円から数万円程かかります。
管理費はいくらかかるのか、お墓を建てる霊園や寺院に事前に確認しておくことが大切です。
まとめ
生前墓の購入は、故人が残りの人生を安心して過ごすこと、亡くなった後に家族が迷う必要がないことなどのメリットがあります。
しかし購入制限や管理費の発生などのデメリットも存在するため、あらゆる条件を踏まえて故人と家族が納得する形を取ることが大切です。
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