お線香のあげ方の基本の流れとは?あげる意味や宗派別のルールまとめ
仏壇やお墓でお線香をあげる時、心を込めるのは日本人にとって自然な供養です。
しかし、お線香のあげ方には場所や宗派によって違いがあることをご存知でしょうか。
もし違いを知らないままだと、自分でも気付かないうちにマナー違反になっていることがあります。
本記事では、供養を行う場所別のお線香のあげ方や、宗派別のお線香の本数を解説します。
併せて、お線香をあげる意味や注意点も紹介していきます。
お線香をあげる意味とは
法事やお墓参りなどでお線香をあげた経験は、一度はあるのではないでしょうか。
しかし、その意味や由来まで考える機会は少なく、形として続けている方が少なくありません。
ここではお線香をあげる意味について、改めて確認していきます。
故人と心を通わせるため
お線香をあげると、故人と心を通わせられるという意味があります。
お線香をあげることで、身体を離れている故人とでも会話ができるとされています。
お線香をあげる時に立ち上がる煙が、あの世とこの世とをつなげてくれるという説があります。
お線香は、故人の好きな香りを選ぶことも一つの手です。
お線香の煙で故人と会話する以外にも、故人を思い浮かべながら心のこもった供養が叶います。
仏様や故人へ食事をお供えするため
お線香をあげると、仏様や故人へ食事をお供えすることができます。
故人はお線香の香りを食べるという考え方があり、「香食(こうじき)」と言います。
なお、善い行いをした方は、良い香りを食べられるとされています。
近年では果物やお菓子の香りのするお線香も存在します。
特に四十九日を迎えるまでは、欠かさずお線香をあげる風習があります。
古くからの言い伝えによると、四十九日は故人がこの世とあの世の狭間をさまよう時期です。
この期間、故人は香を食べて命を繋いでいると言い伝えられてきました。
場や自分の身を清めるため
お線香をあげることには、場や自分の身を清める意味もあります。
故人と対話する時は、事前にこの世の邪気を払う必要があるためです。
お線香の十徳の一つにも「能除汚穢(のうじょおえ)」があげられていて、空間の悪臭や精神的な汚れを取り除くとされています。
最初にお線香で身を清めた後に故人に挨拶することで、気持ちも届きやすくなるでしょう。
【場面別】お線香のあげ方の基本の流れ
実際にお線香を上げる時には、基本の流れやルールを押さえることが大切です。
葬式やお墓参りなどのお線香をあげる場面で、戸惑わないようにしましょう。
ここではお線香のあげ方の基本の流れについて、供養を行う場面別に紹介します。
葬式
葬式に参列する時は、お焼香をあげるのが一般的です。
お線香をあげるタイミングもありますが、一部の宗派に限られる上に、遺族や僧侶が扱うことが多いです。
したがって葬式や通夜に参列する時は、お焼香のルールをおさらいしておくと安心です。
葬式でのお焼香の流れとして、順番が回ってきたらまずは焼香台の手前に移動して遺族に一礼します。
焼香台が中心にある場合、仏様や故人様におしりを向けないようにやや中心を外した場所から一礼をします。
なお、焼香台が中心にある場合、仏様や故人様におしりを向けないようにやや中心を外した場所から一礼をします。
そして数珠を左手にかけて、抹香を右手の親指・人差し指・中指でつまみ、遺影を見ながらおしいただきます(うやうやしく額の高さに捧げる)。
つまんだ抹香は、静かに香炉へ落としましょう。
お焼香が終わったら数珠を両手に掛けて、遺影に向かって合掌・一礼します。
最後は遺族のいる方向に、深く一礼して席に戻ります。
自宅
自宅を訪問して仏壇にお線香をあげる時、マナーを事前に知っておく必要があります。
故人を思いやる気持ちを持った上で、遺族の方に失礼のない対応を心掛けましょう。
仏壇でお線香をあげるタイミングでは、まずは数珠を左手で持ち、仏壇の前で遺族に一礼します。
そして備え付けられているマッチを使ってロウソクに火を灯し、火にお線香をかざしましょう。
お線香に火が付いたら、手で扇いで消すことがマナーです。
そして香炉にお線香を立てた後、数珠を手に掛けて合掌します。
ロウソクの火を消す時は、ロウソク消しを使うか、手で扇ぐことが推奨されています。
ただし他にお線香をあげる方が待機している場合、ロウソクの火を消す必要はありません。
最後に仏壇の前から一歩離れて、遺族に一礼しましょう。
お墓
お墓参りの時にお線香をあげるのは、故人との心のやり取りを行うためです。
お線香をあげて手を合わせることが供養になるとされています。
お墓参りの際は、まずお水やたわしを使い墓石、花立を掃除します。
草むしりや掃き掃除も必要であれば行います。
お墓全体が綺麗になったら水を注いだ花立に生花をお供えします。
そのタイミングで、故人が好きなお菓子や飲み物を添えましょう。
続いてマッチやライターでロウソクに火を付けて、ロウソク立てに立てた後、お線香に火を付けます。
お線香に火が付いたら、手で扇いで消します。そしてお線香を立てて合掌・一礼します。
屋外では風が強くロウソクを使用できないことがよくあります。
そういった場合は、小型のガスバーナーでお線香の束に直接火をつけても便宜上問題はありません。
お墓参りが終わったら、お供えしたお菓子や飲み物は持ち帰りましょう。
置きっぱなしにすると墓地が汚れる心配があるためです。
お線香をあげる本数に違いがある?【宗派別】お線香のあげ方のルール
お線香をあげる時のルールや本数は、宗派によって異なります。
より丁寧に供養を行うために、それぞれの教えや由来を知っておくことが欠かせません。
ここではお線香のあげ方のルールや本数を、宗派別に紹介していきます。
真言宗・天台宗
真言宗や天台宗では、お線香の本数が1人当たり3本とされています。
仏教の「三帰依(さんきえ)」に由来していて、「仏・法・僧」に敬意を表し心を込めて供養するという意味があります。
真言宗や天台宗の仏壇では、お線香3本を立てて、おりんを鳴らすのが一般的な供養方法です。
お線香はまとめずに、仏様から見て逆三角形に立てることがルールです。
浄土宗
浄土宗では香炉の真ん中にお線香を1本を立てるのが一般的です。
ただし明確なルールは定められていません。
複数の本数のお線香をあげる時は、真ん中に寄せて立てましょう。
浄土真宗
浄土真宗でお線香をあげる時、寝線香という作法を用いるのがルールです。
お線香を2つか3つに折り、寝かせて供養します。
お線香は火がついている方が左側を向くように置きましょう。
またお線香の本数は定められておらず、1、2本の線香をお供えすることが多いです。
そもそも浄土真宗でお線香を折るルーツは、昔から行われている「常香盤」というお香の焚き方にあり、伝統ある作法が取り入れられています。
臨済宗・日蓮宗・曹洞宗
臨済宗と曹洞宗ではお線香の本数は基本的に1本とされていて、日蓮宗では1本または3本がルールです。
どの宗派も、お線香は立てることが一般的です。
ただし僧侶によって考え方や作法が異なることがあり、都度確認できると安心です。
お線香をあげる時の注意点
お線香をあげる時には、基本的なマナーや注意点を知っておくことが大切です。
火の付け方や消し方、香炉への立て方など細かな部分にもルールが存在します。
これらを知っておくことで、故人や遺族に対する敬意を表すのみならず、自分自身の心を整えることもできます。
ここでは、お線香をあげる時の注意点を紹介します。
基本のマナーとして、ぜひ弔問前に確認してみてください。
ライターで直接火を付けない
供養でお線香をあげる時は、どのようなシーンであってもライターで直接火を付けるのは控えましょう。
お線香はロウソクから火をつけるのが基本で、「故人様が極楽浄土へ旅立つための手引きになる」「不浄を払って清める」などが言い伝えられているためです。
手で扇いで火を消す
お線香に火がついた時、口で吹き消さずに手で扇いで消すのがマナーです。
仏教において「人の口は不浄のもの」という教えがあり、息を吹きかけるのは仏様や故人への礼を欠くと考えられています。
手で扇ぐ以外にも、場面によってはお線香を軽く振って火を消す方法も有効です。
振る時はお線香の火が点灯していない方を持って、周りに人がいないか注意しましょう。
スペースを空けておく
お線香を立てる時、香炉の中にスペースを空ける配慮が必要です。
これにより、弔問や法要で複数の人がお線香をあげる時に、お線香が倒れる、立てる場所に困るなどを防ぐことができます。
特に香炉が小さい場合は中央を避け、香炉の奥の方から内側にやや傾けてお線香を立てると後の人が立てやすくなります。
また、お線香を1人で2,3本あげる際は、くっつけて立てる方が親切です。
臨機応変に対応すると良いでしょう。
また、香炉の中に程よく空間があることで、お線香の燃え方が安定する、見た目が整うなどの効果も期待できます。
まとめ
お線香やお焼香で供養を行う流れは、葬式、自宅、お墓によってそれぞれ異なります。
故人への感謝の気持ちを落ち着いて伝えられるように、基本ルールを押さえておきましょう。
しかし、宗派別のお線香のあげ方や弔問時の作法を知っておくことは大事ですが、故人を思いながら手を合わせることが最も大切です。
固く考えすぎず、葬式やお墓で故人へ挨拶すると遺族にも喜ばれます。
関内陵苑は宗教法人法國寺が運営する機械式納骨堂です。
宗派の指定はなく、どなたでも利用可能です。
建物内に葬儀会場や法要会場、会食会場が完備されていて、1ヵ所で法事が完結します。
JR関内駅から徒歩6分の場所にあるので、お近くの方はぜひご相談ください。