仏壇じまいとは?位牌はどうする?費用や失敗しないためのポイントも解説
仏壇じまいは、長年守ってきた仏壇を整理し、新たな形で先祖供養を続けていく大切な行いです。
後継者がいない、引越しで仏壇を維持できない、墓じまいに伴い整理が必要になるなど、理由はさまざまです。
特に位牌の扱いは慎重さが求められ、正しい方法を知らないと後悔につながることもあります。
本記事では、仏壇じまいと位牌整理の流れや方法、費用相場、失敗を防ぐポイントを解説します。
仏壇じまいと位牌整理の基本
仏壇じまいは「仏壇を片付ける」だけではなく、感謝を込めて供養を整える大切な過程です。
ここでは仏壇じまいの意味や必要になるタイミング、具体的な流れについて解説します。
仏壇じまいとは?
仏壇じまいとは、先祖や故人を祀ってきた仏壇を整理・処分し、これまでの供養に区切りをつけることです。
ただ単に「処分する」だけではなく、故人やご先祖に感謝の気持ちを込めて供養し、新しい形で先祖を敬う準備を整える大切な儀式です。
仏壇じまいが必要になるタイミング
仏壇じまいを考えるきっかけはさまざまです。
代表的なのは、仏壇を継ぐ後継者がいない場合です。
少子化や核家族化が進む現代では、「次の代で守る人がいない」という理由で整理を検討するご家庭も増えています。
また、住宅の引越しや住環境の変化により、従来の大きな仏壇を置けなくなったときも、コンパクトな仏壇や位牌のみを残す形で仏壇じまいを行うことがあります。
さらに、墓じまいと同時に仏壇を整理するケースも多く、供養の方法を見直す節目として選ばれています。
仏壇じまいの流れ
仏壇じまいは、まず僧侶を招いて閉眼供養を行うことから始まります。
閉眼供養では本尊や位牌に宿る魂を抜き、感謝とともに故人を送り出します。
その後、仏壇本体を処分する手続きを進めます。
仏壇は大型家具として廃棄しても問題ありません。
その他にも、仏具店や専門業者に依頼しても良いでしょう。
あわせて位牌の整理も行います。
位牌は残す場合と処分する場合があり、残す際の方法もいくつかあります。
処分する際には寺院での供養やお焚き上げを通じて丁寧に扱うことが大切です。
仏壇じまいで位牌はどうする?
仏壇じまいでは仏壇本体の処分だけでなく、故人やご先祖を象徴する位牌の扱いも大切な課題です。
位牌は単なる木製の札ではなく、魂が宿る拠り所とされるため、適切な方法で整理することが欠かせません。
ここでは、位牌を残す場合と処分する場合、それぞれの選択肢と注意点を解説します。
位牌を残す場合の方法
仏壇を小さくしても位牌を残して供養を続けたい方には、いくつかの方法があります。
たとえば、リビングやマンションにも置きやすい「ミニ仏壇」や「厨子」を用いると、スペースを取らずに祀ることが可能です。
また、複数の位牌を一つにまとめられる「繰り出し位牌」は、代々のご先祖を一基に収めることができ、後継者が少ない家庭でも管理しやすいです。
位牌の代替として「過去帳」を用いる方法もあり、これは亡くなった方の法名や戒名を帳簿に記録して供養するもので、簡潔で負担の少ない供養スタイルです。
位牌を処分する場合の方法
一方で、位牌を残さず整理する場合には、供養を伴う方法を選びましょう。
一般的な方法が「お焚き上げ」で、僧侶に抜魂してもらい、炎を通じて位牌を浄化するものです。
また、位牌を寺院に預けて長期的に供養してもらう「永代供養」も安心感があります。
近年では、郵送で位牌を送り、受け取った寺院や供養会社がお焚き上げや供養を代行する「郵送供養」も選択肢の一つとなっています。
いずれも「処分」ではなく「供養」と捉えることが大切です。
位牌処分を自分で行うときの注意点
位牌を自宅で勝手に処分することは避けるべきです。
特に火気を使って焼却するのは危険であり、宗教的にも不適切とされます。
どうしても自分で片付けたい場合は、事前に僧侶にお願いして「抜魂(閉眼供養)」をしてもらうことが大切です。
魂を抜かないまま廃棄すると、気持ちの面でも禍根(かこん)を残すことになりかねません。
仏壇じまい・位牌処分の費用相場
仏壇じまいや位牌整理を進める際、多くの方が気になるのが「費用はいくらかかるのか」という点です。
実際の金額は仏壇の大きさや地域、依頼先によって幅がありますが、ここでは一般的な目安を紹介します。
事前におおよその相場を把握しておくことで、予算を立てやすく、後から慌てることも少ないでしょう。
仏壇じまい全体にかかる費用
まずは仏壇じまい全体にかかる費用を見ていきましょう。
閉眼供養
僧侶に読経を依頼する際のお布施は3〜5万円程度が目安です。
金額は寺院との関係性や地域差も影響します。
事前に直接確認することが望ましく、「お気持ちで」と言われる場合でも、あらかじめ相場を知っておくと適切に対応できます。
仏壇処分
仏壇を処分する費用は1万〜10万円と幅があります。
小型の唐木仏壇や上置き仏壇であれば1万円前後で引き取ってもらえることもあります。
一方で大型の家具調仏壇や重量のあるタイプになると、運搬・解体費用が上乗せされ、数万円から10万円近くになるケースもあります。
特にマンションなどエレベーターのない住宅では人件費が追加されることもあるでしょう。
位牌処分の費用
次は位牌処分の費用を解説していきます。
お焚き上げ
位牌をお焚き上げで処分する場合は、1盆あたり1万円前後が一般的です。
複数をまとめて依頼できるケースもあり、10点程度でも数万円以内に収まることが多いです。
永代供養
位牌を長期的に寺院へ預ける「永代供養」は、10万〜50万円と比較的高額です。
金額の差は、個別に位牌を安置するのか、合同で祀るのか、また契約年数や供養方法の違いによって生じます。
後継者がいない方や、確実な供養を望む方に選ばれる傾向があります。
無料で依頼できるケース
必ずしも全ての場面で費用が発生するわけではありません。
たとえば、仏壇の買い替えを行う際に購入店が古い仏壇や位牌を引き取ってくれることがあります。
また、菩提寺に永代供養を依頼した場合、その中に位牌の整理が含まれていることもあります。
自治体や寺院の方針によっては、無償で引き取ってくれる例もあるため、事前の確認が重要です。
なお、位牌の処分については、以下の記事でも解説しています。あわせて確認してみましょう。
仏壇じまいや位牌の整理で失敗しないためのポイント
仏壇じまいや位牌整理は、一度進めてしまうと元に戻すことが難しいため、慎重さが欠かせません。
ここでは、失敗しないために押さえておきたい3つのポイントを紹介します。
依頼先を慎重に選ぶ
まず重要であるのが、誰に依頼するかです。
菩提寺がある場合は、真っ先に相談しましょう。お寺との縁を大切にすることで、閉眼供養から位牌の整理、永代供養まで一貫して任せられる場合があります。
また、仏壇店や専門業者に依頼する方法もありますが、業者によってサービス範囲や料金体系は大きく異なります。
なかには処分のみを行い、供養を伴わないケースもあるため注意が必要です。
依頼前に「供養を含むかどうか」「料金に何が含まれているか」を確認しておくことで、安心して任せられます。
親族間での話し合う
仏壇や位牌は家族全体に関わる大切な問題です。
後になって「勝手に処分された」と不満が生じると、親族間の関係が悪化する原因にもなります。
特に誰が供養を引き継ぐかを定める祭祀承継権は法律でも明確に位置づけられており、相続の一部としてトラブルに発展することもあります。
仏壇じまいを検討する際は、親族全員で集まり、意向を確認しながら進めることが大切です。
決定事項はメモに残し、後から確認できるようにしておきましょう。
自分で行う際の注意点
費用を抑えようと、自分で仏壇や位牌を整理しようと考える方もいます。
その場合は、まず地域の粗大ごみの区分や処分方法を確認しましょう。
仏壇は家具として処分できる自治体もあれば、専門業者に依頼が必要な地域もあります。
また、魂抜きをしていない位牌をそのまま廃棄するのは避けたいところです。
どうしても自分で片付けたい場合でも、事前に僧侶にお願いして魂抜きを行ってもらいましょう。
まとめ
仏壇じまいは、仏壇や位牌を整理するだけでなく、これからの供養の在り方を考える大切な節目です。
位牌を残す方法や処分の選択肢、費用の相場や注意点を理解して進めれば、後悔のない形でご先祖を敬い続けることができます。
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