お墓の撤去の流れや費用、必要な手続きは?自分でできる?徹底解説!

お墓の撤去(墓じまい)は、少子高齢化や家族構成の変化により、近年多くの方が検討しています。一方で適切な手順を踏まずに進めると、親族間のトラブルや法的問題に発展する可能性があります。
本記事では、お墓の撤去に必要な手続きから費用まで解説します。適切な手順や必要な知識を習得して、滞りなく進めましょう。
お墓の撤去の流れは?
お墓の撤去は複雑な手続きが必要で、2ヵ月から6ヵ月程度の期間を要します。以下の9つのステップに沿って進めることで、スムーズな墓じまいを進められるでしょう。
①親族間にお墓を撤去することを相談し、合意をとる
墓じまいを検討するときに最初に行うべきは親族全員への相談です。お墓は家族共有の財産であり、一人の判断で撤去を決めるとトラブルの原因となります。特に兄弟姉妹や従兄弟など、お墓に関わる可能性のある親族には必ず事前に相談しましょう。
合意形成では、撤去の理由を明確に説明することが重要です。管理の困難さ、経済的負担、後継者不在などの具体的な事情を共有し、理解を得る必要があります。
②墓地管理者にお墓を撤去する旨を伝える
親族間の合意が得られたら、次に墓地管理者への連絡を行います。寺院墓地、公営霊園、民営霊園いずれの場合でも、管理者への事前通知は必須です。管理者によっては独自のルールや手続きが定められている場合があるため、早めの相談をおすすめします。
この段階で、撤去工事の時期や方法についても相談しましょう。墓地によっては工事可能な時期や時間帯に制限がある場合も考えられます。
③寺院墓地の場合は離檀する
寺院墓地にお墓がある場合、檀家を辞める「離檀」の手続きが必要です。離檀は単なる事務手続きではなく、長年お世話になった寺院との関係を整理する重要なプロセスです。住職との面談を通じて、離檀の理由を説明し、理解を得ることが大切です。
④次の遺骨先を決める
墓じまい後の遺骨の行き先を決定することは、最も重要な検討事項の一つです。選択肢には新しいお墓の建立、永代供養墓への納骨、納骨堂の利用などがあります。それぞれにメリットとデメリットがあるため、家族の状況や予算に応じて最適な選択を行いましょう。
永代供養墓は管理の心配がなく、費用も比較的抑えられるため人気が高まっています。
⑤お墓を撤去してもらう石材店を選ぶ
墓石の撤去工事は専門的な技術と重機が必要なため、信頼できる石材店への依頼が不可欠です。墓地によっては指定石材店が決まっている場合があるため、まず管理者に確認しましょう。指定がない場合は、複数の石材店から見積もりを取得し、比較検討することをおすすめします。
石材店選びでは、価格だけでなく実績や対応の丁寧さも重要な判断基準です。ただし、寺墓地の場合は、石材店が決まっているので、住職に確認しましょう。
⑥閉眼供養を行う
閉眼供養は、お墓に宿っている故人の魂を抜き取り、墓石をただの石に戻すための儀式です。この供養を行うことで、墓石を安心して撤去できます。閉眼供養は菩提寺の僧侶に依頼するのが一般的で、参列者は近親者に限定されることが多いです。
⑦お墓から遺骨を取り出す
閉眼供養が終了したら、カロート(納骨室)から遺骨を取り出します。この作業は専門の石材店に依頼するのが安全です。地域によってカロートの構造や遺骨の保管方法が異なるため、適切な知識と技術が必要になります。
関東・北海道地方では大型の骨壷が使用される一方、関西地方では小型の骨壷が一般的で、場合によっては遺骨が土に還されている場合もあります。
⑧墓石を解体し、産業廃棄物として処分する
遺骨の取り出しが完了したら、墓石の解体工事を開始します。墓石は産業廃棄物として適切に処理される必要があり、環境に配慮した方法で廃棄またはリサイクルされます。多くの場合、砕石として道路基盤材や建築用資材に再利用されるため、持続可能な処分方法といえるでしょう。
解体作業では重機や専門器具を使用し、安全性を最優先に進められます。
⑨納骨する
最後に、取り出した遺骨を新しい埋葬先に納骨します。この際、改葬許可証の提出が必要です。納骨先では開眼供養を行い、新しい環境で故人の魂を迎え入れる儀式を執り行います。
納骨については、次の記事でも詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
お墓を撤去する時に必要な行政手続きは?
お墓の撤去には法的な手続きが必要で、勝手に遺骨を取り出すことは認められていません。適切な行政手続きを経ることで、合法的かつ安全に墓じまいを進められます。
改葬許可申請書
改葬許可申請書は、現在遺骨が存在する地の市区町村役場に提出する最も重要な書類です。この申請書は遺骨1体につき1通必要で、ホームページから様式をダウンロードできる自治体もあります。申請書には故人の氏名、死亡年月日、現在の埋葬地、移転先などの詳細な情報を記入する必要があります。
申請書の記入では正確性が重要で、誤りがあると手続きが遅れる可能性があります。
受入証明書
受入証明書は、遺骨を新たに受け入れる墓地や霊園の管理者が発行する重要な書類です。この証明書により、改葬先での受け入れが正式に確認されます。受入証明書の入手方法は改葬先によって異なるため、直接問い合わせて手続き方法を確認する必要があります。
多くの墓地や霊園では、受入証明書発行の条件として、申請書類の提出と管理費用の支払いがあります。
埋葬許可証
埋葬許可証は、現在遺骨が納骨されている墓地管理者から発行される証明書です。この書類は埋葬の事実を証明するもので、改葬許可申請書に墓地管理者の署名と捺印が必要です。郵送が可能な場合もあるため、管理者に確認すると良いでしょう。
特に古いお墓の場合、記録が不完全な可能性もあるため、時間に余裕を持って手続きを進めることが大切です。
お墓の撤去にかかる費用は?
墓じまいの費用総額は30万円から250万円程度と幅があり、内訳によって大きく変動します。事前に詳細な費用を把握しておくことで、予算計画を立てやすくなるでしょう。
撤去工事の費用
墓石の撤去工事費用は20万円から50万円程度が相場です。費用は墓石の大きさや重量、形状、設置場所、巻石の量によって決まります。一般的に墓石の撤去には1トンあたり3,000円から5,000円程度かかるとされています。
撤去費用には解体作業、運搬費用、処分費用が含まれます。墓地の立地条件も費用に影響し、重機が入りにくい場所では追加料金が発生する場合があります。
閉眼供養料
閉眼供養のお布施は3万円から10万円程度が一般的な相場です。地域や宗派、寺院との関係性によって金額が異なる場合があります。お布施以外にも、御車代として5,000円から1万円程度、御膳料として5,000円から1万円程度を別途用意するのが礼儀とされています。
離檀料
寺院墓地の場合、離檀料として数万円から20万円程度が必要です。離檀料の相場は法要1〜3回分に相当する額が適切とされ、1〜3万円程度が相場ですが、費用がかかる場合は20万円程度が目安です。ただし、離檀料には法的な義務がないため、経済状況に応じて無理のない範囲で支払うのが妥当です。
お墓の撤去(墓じまい)については、次の記事でも解説しているので、あわせてご覧ください。
よくある質問
墓じまいを検討する際、多くの方が抱く疑問があります。ここではよく寄せられる質問について回答します。
お墓の撤去は自分でできる?
墓石の撤去を個人で行うことは技術的には可能ですが、安全面と法的な観点から専門業者への依頼をおすすめします。墓石は非常に重く、カロートの蓋を開ける作業にも危険が伴います。また、地域によって遺骨の保管方法が異なるため、適切な知識なしに作業を行うと遺骨を損傷する可能性があります。
さらに、墓石は産業廃棄物として適切な処理が必要で、個人での処分は困難です。
無縁墓の場合、撤去費用は誰が払う?法律で決まっているの?
無縁墓の処分費用については、まず権利者への連絡と意思確認が行われます。寺院や墓地管理者は、未払いの管理料の支払いを求めるとともに、今後も墓を維持していく意思があるかを確認します。権利者が撤去に同意した場合は、永代使用権の不存在確認書面を締結した上で、適切な行政手続きを経て撤去が行われます。
法的には明確な規定がないため、個別の状況に応じて関係者間での話し合いが重要になるでしょう。
撤去した墓石は処分センターに持ち込んでいい?
撤去した墓石を個人で処分センターに持ち込むことは、一般的には推奨されません。墓石は産業廃棄物として分類されるため、適切な処理業者による処分が必要です。ただし、一部の専門業者では墓石の持ち込みを受け付けている場合があります。
持ち込みを行う場合は、事前に脱魂法要が行われていることが原則となります。
まとめ
お墓の撤去は複雑な手続きと相応の費用が必要ですが、適切な手順を踏むことで円滑に進めることができます。親族間の合意形成から始まり、行政手続き、供養、撤去工事まで、それぞれの段階で専門家のサポートを受けることが大切になります。
関内陵苑では、墓じまい後の永代供養サービスを提供しており、法國寺が永代にわたってご供養いたします。宗旨・宗派を問わず利用でき、お墓の継承でお悩みの方も安心してお任せいただけます。
お墓の撤去をお考えの場合は、お気軽にご相談ください。