お墓を建てる~流れや費用、手続きに必要な書類について徹底解説~

お墓を建てることは、故人を偲び家族が代々お参りできる大切な場所を作る重要な決断です。
本記事では、お墓の種類選びから納骨・開眼供養まで9つのステップに分けて建立の流れを詳しく解説します。また、永代使用料や墓石代など費用の内訳と相場、必要な書類の種類、よくある質問についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
お墓の建て方の流れ
お墓の建立は計画的に進めることが大切です。一般的に2〜3ヵ月程度の期間を要するため、法要の時期に合わせて逆算して準備を始めましょう。
①お墓の種類を選ぶ
まず検討すべきは、どのようなお墓にするかという基本的な方向性です。現在は従来の墓石を建てる一般墓以外にも、樹木葬、納骨堂、永代供養墓など多様な選択肢があります。予算や家族の価値観、将来の管理方法を考慮して決定しましょう。
位牌型の納骨堂であれば10万円程度から利用可能であり、予算に制約がある場合でも選択肢があります。一方、従来の一般墓を希望する場合は、和型、洋型、オリジナル型などのデザインから選択できます。
②お墓を建てる寺院や霊園の情報収集をする
お墓の種類が決まったら、広告や雑誌、インターネットなどで霊園・墓地の情報を収集します。価格、アクセス、宗派などの条件を確認し、希望に合う霊園・墓地を探しましょう。
公営霊園は1㎡あたりの価格が低く設定されていますが、抽選になる場合が多いです。民間墓地は設備が充実している傾向にあり、寺院墓地は宗派の制約もあります。実際に現地を見学して、お墓参りのしやすさや雰囲気を確認することが重要です。
③お墓の予算を決める
お墓を建てる費用は約100万円〜150万円、平均値では125万円ほどです。予算の上限を決めてから、お墓の候補を絞り込む方法も効果的です。
費用の内訳は、永代使用料、墓石代、工事費、管理費などに分かれます。地域や霊園の立地によって大きく変動するため、複数の選択肢を比較検討しましょう。
お墓の費用や相場については、次の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。
④墓所の申し込みをする
希望する霊園が決まったら、墓地使用申込書を提出して墓地使用料と管理費を支払います。この段階で墓地使用許可証が発行され、お墓を建てる権利を獲得できます。
申し込み時には、区画の大きさや場所を慎重に選びましょう。大きな樹木の近くは将来的に根の成長でお墓が傾く可能性があるため避けるべきです。
⑤石材の種類やデザインを選ぶ
墓地が確保できたら、石材店と相談してどのような墓石にするか決めます。石材の種類によって耐久性や価格が大きく異なります。石材によっては鉄分を含むものもあり、耐久性に影響する場合があります。
デザインについては、家族でじっくりと検討する必要があります。最近では名字だけでなく、家族で決めた好きな言葉や絵などを彫ることも可能です。
⑥複数の石材店で見積もりを取り業者を決める
石材店選びは最も重要なポイントの一つです。普段立ち寄る機会が少ないお店のため、複数の業者から相見積もりを取り、比較検討して決めることが大切です。
価格だけで決めるのではなく、使用する石材の種類や工事の内容もしっかりと確認しましょう。信頼できる石材店を選ぶことで、墓地選びやデザインについても相談でき、建立後の満足度に直結します。また、石材店が決まっている場合もあるので、注意しましょう。
お墓の購入について、業者選びのポイントなどを次の記事でも解説しています。ぜひ参考にしてください。
⑦お墓の工事を行う
希望の石材やデザインが決まったら、請負工事契約を取り交わします。工事代金の一部を支払った後に工事が開始されます。
お墓の工事は基礎工事から始まり、外柵設置、最後に石碑設置という流れで進められます。完成まで2〜3ヵ月かかることが多いです。
⑧仕上がりの確認・支払いを行う
工事の完了後、現地でお墓の仕上がりを確認します。打ち合わせ通りに完成しているか、傾きやひび割れがないかなどをチェックし、問題がない場合は石材店に費用を支払います。
現地確認では、石材店の担当者と一緒に細部まで点検し、不備があれば修正を依頼しましょう。
⑨納骨と開眼供養を行う
仏教の場合、遺骨をお墓へ納骨する前には、僧侶に読経をいただき開眼供養という法要を行います。この法要により、故人やご先祖様を納める「お墓」になります。
納骨時にも読経をいただき納骨式を行うので、お墓ができて初めての納骨の際は開眼供養と納骨式を同時に行うことが多いです。
お墓への納骨については、次の記事でも解説していますので、ぜひご覧ください。
お墓を建てるのにかかる費用の内訳と相場
ここからは、お墓を建てる際の費用を内訳とともに解説します。
墓地の永代使用料
永代使用料の相場は約60万円〜100万円/一区画です。計算方法は一般的に「面積×1㎡当たりの費用」です。近年では全国的にお墓が小型化されたため、区画は1.44㎡ほどが目安となっています。
永代使用料の金額は、墓地の面積、都心と地方の地価、アクセスなど霊園の立地、区画の場所、霊園全体の施設の充実度によって決まります。
墓石自体の費用、工事費用
墓石代は約50万円〜150万円が相場です。墓石の本体や外柵・納骨棺(カロート)、施工費などが含まれます。墓石の種類や加工費・施工費によって大きく変動するので注意してください。
石材の種類や産地、デザインの複雑さ、彫刻の内容などが価格に影響します。
墓地の管理費用
お墓の管理費の目安は年間5,000円〜2万円です。墓地の種類によって大きく異なり、公営霊園は0円〜1万5,000円/年、民間墓地は5千円〜2万円/年、寺院墓地は6,000円〜3万円/年が相場です。
管理料には、敷地の清掃やゴミ収集など、共用部分の維持管理が含まれます。
なお、管理費用を削減したい場合は、お墓じまいも方法の一つです。お墓じまいについて、費用面を次の記事で解説しているので、あわせてご覧ください。
法要やお布施
開眼供養のお布施は1万〜5万円が相場です。納骨式は1万〜3万円程度が目安となります。お寺以外の場所で法要が行われる際は、お車料として5,000円、遠方の場合は1万円程度を用意します。
お寺様と一緒に会食をしない場合は、お膳料として5,000円程度を渡すのが一般的です。
お墓を建てるために必要な書類は?
お墓の建立には複数の書類が必要となります。手続きを円滑に進めるため、事前に必要書類を把握し準備しておきましょう。
埋葬許可証
埋葬許可証がないと遺骨を埋葬できません。役所で発行してもらいますが、火葬に必要な火葬許可証を火葬場に提出して、火葬後に返却されたものがそのまま埋葬許可証として使われます。
この書類は納骨時に必要となるため、大切に保管しておく必要があります。万が一紛失した場合は、火葬を行った自治体で再発行の手続きが可能です。
地使用許可証
墓地使用許可証は、霊園側から発行される証明書で「永代使用書」とも呼ばれています。工事を行うときには、確実に「その墓地を契約した者がお墓を建てている」と霊園側に証明できるよう、墓地使用許可証が必要になります。
申し込みをして入金すると発行してもらえ、これを受け取ると使用権を獲得できます。
工事届
工事届は、お墓を建てる日程、霊園に出入りする業者、お墓を建てる区画、建てるお墓の概要を霊園側に届け出るための書類です。工事届は工事を行う業者が発行します。
不特定多数の石材業者が出入りする公営霊園では必ず必要な書類です。一方民営霊園では、工事をする指定石材業者が決まっているので必要ではない場合もあります。
よくある質問
お墓の建立に関して多くの方が抱く疑問があります。ここでは特によくある質問について解説します。
お墓を建てる時の注意点は?
お墓を建てる際の注意点として、まずお墓参りしやすい墓地を選ぶことが重要です。お墓は亡くなった後に入る場所だけでなく、親族や知人にお参りに来ていただく場所でもあるため、アクセスの良い場所を選びましょう。
信頼できる石材店を選ぶことも最も重要なポイントの一つです。価格だけで決めずに、使用する石材の種類や工事の内容もしっかりと確認しましょう。
お墓を建ててはいけない年ってある?
お墓を建ててはいけない年はありません。うるう年には建てない方が良いという話を聞いたことがある方もいるかもしれませんが、これは江戸時代の名残りです。
江戸時代では旧暦を使用していたため、うるう年では一年が13ヵ月になりました。武士のお給料は年払いだったため、うるう年は平年と同じお給料で13か月間生活しなければならず、藩主は家臣へお金がかかる仏壇の新調やお墓の建立を見合わせるよう指示を出していました。現在はうるう年にお墓を建てても全く問題ありません。
まとめ
お墓の建立は一生に一度の重要な決断であり、適切な手順と十分な検討が必要です。お墓の種類選びから納骨まで2〜3ヵ月の期間を要するため、法要の時期に合わせて計画的に進めましょう。費用は永代使用料、墓石代、管理費、法要費用などさまざまな要素で変動します。
関内陵苑は室内型納骨堂のため、外墓地のように大きな墓石を購入する必要がありません。その分、初期費用を大幅に抑えられるのが大きな特長です。天候に左右されず快適にお参りできる環境も整っており、宗教や宗派を問わず利用できます。
お墓や納骨などお悩みの場合は、ぜひご相談ください。